バー開業に必要な厨房機器・設備の完全リスト|費用相場と業態別の選び方

バー開業に必要な厨房機器・設備の完全リスト|費用相場と業態別の選び方

バーを開業するにあたって、最初にぶつかる大きな壁が厨房機器・設備の選定と初期費用です。

「バーにはどんな機器が必要なのか」「居酒屋やカフェと同じ構成でいいのか」「全部でいくらかかるのか」――これからバーを開業しようとするオーナーなら、誰もが頭を悩ませるテーマではないでしょうか。

バーの厨房は居酒屋やカフェと異なり、ドリンク調製・氷の供給・ボトル管理が中心でありながら、業態によってはフード提供の設備も求められます。そのため、自店のコンセプトに合わない機器を選ぶと、限られた厨房スペースを無駄に圧迫したり、逆にピーク時の氷切れやドリンク提供の遅れを招いたりする原因になります。

この記事では、バー開業に必要な厨房機器・設備の完全リストから、業態タイプ別の選び方、費用相場、初期コストを抑えるコツ、営業許可の基準まで徹底解説します。

特に、中古厨房機器をうまく活用することで開業資金を大幅に節約できるという点にも触れていますので、資金を少しでも節約したい方はぜひ最後までご覧ください。

バーの厨房機器選びが居酒屋・カフェと根本的に異なる理由

バーは、飲食業の中でも「ドリンク主体×狭小厨房×深夜営業」という独特の業態です。居酒屋のように多品目の料理を同時調理する業態とも、カフェのようにコーヒーマシン中心で回す業態とも、厨房設計の考え方が根本的に異なります。

一般的なバーでは、売上に占めるドリンクの比率が80〜90%に達します。カクテル・ウイスキー・ワイン・生ビールなどを中心に、氷の消費量が非常に多いのが特徴です。また、バーの厨房(バックバー)はカウンター越しにお客様から見えるケースが多く、機器の見た目や配置そのものが空間演出の一部になるという点も他業態にはない特性です。

このような業態特性から、バーの厨房機器選びは次の3つの経営指標に直結します。

厨房機器選びが影響する3つの経営指標

  • ドリンク提供スピード:製氷機の能力や冷蔵庫の配置が不適切だと、ピーク時にドリンクが詰まり、客単価と回転率の低下を招く
  • 空間演出・顧客満足度:バックバーのボトルディスプレイやガラスドア冷蔵庫の有無が、バーの「雰囲気」と「もう一杯」の追加注文を左右する
  • 省スペース・ワンオペ対応:バーは厨房面積が2〜4坪と狭い店舗が多く、1台で複数の役割を果たす機器の選定がオペレーション効率を決める

つまり、バーの厨房機器選びは単なる「買い物」ではなく、開業後のドリンク品質・空間価値・オペレーション効率を決定づける経営判断そのものです。居酒屋向けの機器構成をそのまま流用するのではなく、バーならではの優先順位を理解した上で選定に臨みましょう。

【完全リスト】バー開業に必要な厨房機器・設備一覧

バーの厨房機器は、大きく「冷蔵・冷凍機器」「製氷機」「洗浄・衛生機器」「加熱調理機器」「作業台・収納・バックバー設備」の5カテゴリに分けられます。

居酒屋では加熱調理機器が最重要でしたが、バーでは冷蔵機器と製氷機の優先度が最も高い点が大きな違いです。まずは全体像を把握し、自店の業態・メニュー・席数に合わせて必要な機器を絞り込んでいきましょう。

なお、本記事ではバーの「厨房機器・設備」にフォーカスしています。シェーカー・ジガー・バースプーンなどのカクテルツール類は別途ご準備ください。

カテゴリ主な機器バーでの重要度
冷蔵・冷凍機器業務用冷蔵庫・コールドテーブル・ワインセラー・瓶冷蔵ショーケース★★★(最重要)
製氷機キューブアイス製氷機・アンダーカウンター型★★★(最重要)
洗浄・衛生機器二槽シンク・手洗い設備・グラスウォッシャー★★★(最重要)
加熱調理機器コンロ(IH/ガス)・電子レンジ・オーブン★☆☆〜★★☆(業態による)
作業台・収納・バックバーステンレス作業台・食器棚・ボトルディスプレイ棚・吊り棚★★☆(必須)

居酒屋では加熱調理・冷蔵冷凍・ドリンク機器の3カテゴリすべてが最重要でしたが、バーでは冷蔵機器・製氷機・洗浄機器の3つが最重要で、加熱調理機器の優先度はフード提供の有無によって大きく変わります。それぞれのカテゴリについて、役割・選び方・費用感を詳しく解説していきます。

冷蔵・冷凍機器(業務用冷蔵庫・コールドテーブル・ワインセラー・瓶冷蔵ショーケース)

バーにとって冷蔵機器はドリンクの品質と提供スピードの生命線です。ビール・ワイン・カクテル材料・フルーツなどの鮮度管理はもちろん、バーではお客様から見える位置に冷蔵庫を配置するケースが多く、「見せる冷蔵」という演出機能も兼ね備えます。

業務用冷蔵庫(タテ型・ガラスドアタイプ)

ボトルビール・ワイン・チューハイ・カクテル材料などの保冷に欠かせない基本設備です。バーではガラスドアタイプを選ぶことで、お客様にドリンクのラインナップを視覚的にアピールでき、追加注文の促進効果が期待できます。一方、フード材料の保管がメインならソリッドドア(不透明)タイプが温度安定性に優れます。店舗規模に合わせて1ドア〜4ドアを選びましょう。

コールドテーブル(台下冷蔵庫)

天板を作業台として使いながら、下部で飲料や食材を冷蔵保管できる省スペース機器です。バーの狭い厨房では最も重宝する万能機器で、カクテル材料やフルーツ、軽食の食材などを調理動線のすぐ下に配置できるため、ワンオペでもスムーズなドリンク提供が可能になります。冷凍・冷蔵の組み合わせタイプも選べます。

ワインセラー

ワインバーやワインの品揃えを売りにするバーでは必須の専門機器です。温度・湿度を一定に保ち、ワインの品質を長期間維持できます。赤・白の温度帯を分けて管理できる二温度帯タイプや、30〜50本収容のコンパクトタイプが小規模バーには適しています。カウンター越しにワインのラベルが見えるガラスドアタイプは演出効果も高いです。

瓶冷蔵ショーケース

ボトルビールやソフトドリンクを冷やしながらディスプレイできるショーケースです。業務用冷蔵庫よりもコンパクトで、カウンター下やバックバーに設置しやすいのが特徴です。お客様に「何があるか」を見せることで、オーダーの迷いを減らし、提供スピードの向上にもつながります。

機器名役割新品価格の目安
業務用冷蔵庫
(タテ型・ガラスドア)
ボトル・カクテル材料・食材の冷蔵保管と陳列20万〜50万円
コールドテーブル
(台下冷蔵庫)
作業台と冷蔵庫を兼ねた省スペース機器15万〜50万円
ワインセラーワインの適温・適湿保管。ワインバーでは必須6万〜55万円
瓶冷蔵ショーケースボトル飲料の冷却・ディスプレイ5万〜20万円

製氷機

バーにとって製氷機は最も重要な単体機器と言っても過言ではありません。ウイスキーのロック、ハイボール、カクテル、サワーなど、バーで提供するドリンクの大半に氷が必要であり、製氷機の能力がそのままドリンク提供のスピードと品質を決定づけます。

バーに適した製氷機の選び方

バーで使われる氷には用途に応じた種類があります。最も汎用性が高いのがキューブアイスで、ハイボール・サワー・ロックなど幅広いドリンクに対応します。オーセンティックバーでは大きめの角氷や丸氷を手彫りで仕上げるケースもありますが、その場合もベースとなるキューブアイスを大量に安定供給できる製氷機は必須です。

製氷能力の目安は「席数 × 1.5kg〜2.0kg /日」が基本です。10席のバーなら25〜35kg/日、20席なら45〜65kg/日程度の能力が目安になります。ただし、製氷機は夏場に製氷能力が15〜20%ダウンすることを考慮し、余裕を持ったスペックを選ぶのが鉄則です。

バーの狭い厨房ではアンダーカウンター型が主流です。カウンター下に設置でき、天板を作業台として使えるため、省スペースと効率を両立できます。

機器名役割新品価格の目安
製氷機
(アンダーカウンター型)
ドリンク用の氷を安定供給。バーの生命線15万〜40万円
製氷機
(バーチカル型・大容量)
20席以上のバーや氷の消費量が多い店舗向け25万〜60万円

洗浄・衛生機器(二槽シンク・手洗い設備・グラスウォッシャー)

衛生管理と作業効率を支える機器群です。保健所の営業許可取得にも直結するため、許可基準を満たす設備を最初から正しく選ぶことが開業スケジュールの遅延を防ぐポイントになります。

二槽シンク

食材洗い用と食器洗い用を分けて設置することで衛生基準をクリアします。保健所の営業許可取得にあたって設置が必須となるケースが多いため、見落とさないようにしましょう。槽のサイズや深さにも規定があるため(一般的に各槽の内寸が幅45cm×奥行36cm×深さ18cm以上)、事前に管轄の保健所へ確認が必要です。水と熱湯の両方が出る水栓も求められます。

手洗い設備

調理場内に消毒装置付きの専用手洗いを設置することが営業許可の要件です。調理用のシンクとは別に独立した手洗いが必要で、非接触型(センサー式・セルフストップ式)の蛇口が望ましいとされています。設置スペースと給排水の位置を事前に確認しておきましょう。

グラスウォッシャー(食器洗浄機)

バーはグラスの回転数が他の飲食業態より圧倒的に多いのが特徴です。ロックグラス・カクテルグラス・ワイングラス・ビールジョッキと種類も多く、手洗いだけでは繁忙時に追いつかなくなります。アンダーカウンター型のグラスウォッシャーを導入すれば、1〜2分の高速洗浄で大量のグラスを清潔に仕上げられ、ワンオペでもグラス切れを防げます。席数15席以上なら導入を強くおすすめします。

機器名役割新品価格の目安
二槽シンク食材・食器の洗浄。保健所の営業許可に必要2万〜15万円
手洗い設備調理場内の専用手洗い。営業許可に必要1万〜5万円
グラスウォッシャー
(食器洗浄機)
大量のグラスを高速洗浄。ワンオペの強い味方12万〜50万円

加熱調理機器(コンロ・電子レンジ・オーブン)

バーの加熱調理機器は、フード提供の有無と規模によって必要度がまるで変わるカテゴリです。オーセンティックバーやショットバーのようにドリンクのみ、あるいはナッツや乾き物程度のフードしか出さない業態であれば、調理機器は最小限で済みます。一方、ダイニングバーのように本格的な料理も提供する業態では、居酒屋に近い構成が求められます。

コンロ(IH/ガス)

軽食やおつまみ程度の調理であればIHコンロの1〜2口で十分対応できます。IHは省スペースで安全性も高く、バーの狭い厨房に適しています。ダイニングバーのように炒め物やパスタなど本格調理を行う場合は、火力に優れたガスコンロ(2〜3口)が必要です。都市ガスかプロパンかでガス種が異なるため、物件の契約内容を必ず確認してから選びましょう。

電子レンジ

冷凍食材の解凍や温め直しに使う補助的な機器です。簡単なおつまみ(チーズ・ソーセージの温め等)を提供するバーなら、コンロの代わりに電子レンジだけで済むケースもあります。コンパクトな業務用モデルを選べば、限られたスペースでも導入しやすいです。

オーブン・フライヤー(ダイニングバー向け)

ピザやグラタン、揚げ物などを提供するダイニングバーではオーブンやフライヤーの導入が必要になります。ただし、これらの機器は排気・換気設備の工事を伴うケースも多いため、内装工事の計画と一体で検討しましょう。小規模店舗では卓上型のコンパクトモデルが導入しやすいです。

機器名役割新品価格の目安
コンロ(IH)軽食・おつまみの調理。省スペースで安全2万〜10万円
コンロ(ガス・2口以上)ダイニングバー向け。本格調理に対応5万〜20万円
電子レンジ(業務用)解凍・温め直し。コンロの代替にも3万〜15万円
オーブン(卓上型)ピザ・グラタン等。ダイニングバー向け5万〜30万円
フライヤー(卓上型)揚げ物提供。ダイニングバー向け5万〜15万円

作業台・収納・バックバー設備(ステンレス作業台・食器棚・ボトル棚・吊り棚)

バーの作業台と収納は、オペレーション効率だけでなく空間演出の重要な要素でもあります。特にバックバーのボトルディスプレイ棚は、バーの「顔」として店舗の雰囲気を大きく左右します。

ステンレス作業台

ドリンクの調製・盛り付け作業のスペースを確保する基本設備です。ステンレス製は耐久性と衛生面に優れ、清掃もしやすいため業務用の定番です。コールドテーブルの天板を作業台として兼用する場合は、追加の作業台が不要なケースもあります。下部に棚や引き出し付きのタイプを選べば収納力も高まります。

食器棚・グラス棚

多種多様なグラスや食器の整理整頓と、ほこり・害虫からの保護を担います。保健所の基準では扉付きの収納が求められるケースが多いため、オープンラックだけでなく扉付きの食器棚を用意しましょう。壁掛けの吊り棚を活用すると、床面積を圧迫せずに収納スペースを確保できます。

ボトルディスプレイ棚(バックバー)

バックバーに設置するボトルのディスプレイ棚は、バーの世界観を表現する”営業装置”です。照明付きのタイプを選べば、ウイスキーやリキュールのボトルを美しく演出でき、お客様の視線を引きつけます。棚の高さ・段数は取り扱うボトル数に合わせて設計しましょう。既製品のほか、内装工事と合わせてオーダーメイドで造作するケースも多い設備です。

機器名役割新品価格の目安
ステンレス作業台ドリンク調製・盛り付けの作業スペース確保3万〜20万円
食器棚(扉付き)グラス・食器の保管。衛生基準の要件3万〜15万円
吊り棚壁面を活用した省スペース収納1万〜5万円
ボトルディスプレイ棚
(バックバー)
ボトルの演出・陳列。バーの空間価値を向上3万〜50万円
(オーダーの場合は別途)

業態タイプ別|優先すべき厨房機器の違い

「バー」と一口に言っても、オーセンティックバー・ダイニングバー・ワインバー・小規模スタンディングバーでは看板ドリンクも厨房の使い方もまるで異なります。前章の厨房機器リストの中から、自店の業態タイプに合わせてどの機器に予算と優先度を置くべきかを整理しましょう。

オーセンティックバー・ショットバー

カクテルやウイスキーを中心に提供するオーセンティックバー・ショットバーでは、製氷機のスペックとグラス管理の効率化が最重要です。ロックやカクテルに使う氷の品質がドリンクの味を直接左右するため、製氷能力には妥協しないようにしましょう。

調理機器は最小限でよく、IHコンロ1口か電子レンジがあれば軽食・おつまみ程度は対応できます。その分の予算をガラスドア冷蔵庫やグラスウォッシャー、照明付きのバックバー棚に回すのがこの業態の鉄則です。カウンター越しにボトルが美しく並ぶバックバーの演出は、お客様のリピート意欲を高める重要な投資です。

ダイニングバー・バル

お酒と料理の両方を楽しめるダイニングバー・バルでは、加熱調理機器の優先度が一気に上がります。ガスコンロ(2〜3口)、フライヤー、オーブンなど、提供メニューに応じた調理設備が必要で、居酒屋に近い厨房構成が求められます。

食材の保管量が増えるため、冷蔵庫はドリンク用と食材用を分けて確保することをおすすめします。コールドテーブルで食材の一時保管を兼ねつつ、タテ型冷蔵庫でストックを管理する構成が効率的です。食器の使用量も多くなるため、グラスウォッシャーだけでなく食器も洗える食器洗浄機の導入を検討しましょう。

ワインバー・日本酒バー

ワインバーではワインセラーの導入が必須です。赤と白で適温が異なるため、二温度帯対応のセラーが理想的です。30本〜50本収容できるコンパクトなセラーが小規模店舗には適しています。ガラスドアタイプでワインのラベルが見えるようにすると、お客様との会話のきっかけにもなります。

日本酒バーの場合は、燗酒を提供するなら酒燗器の導入を検討しましょう。冬場を中心に注文が集中するため、複数本を同時に温められるタイプを選ぶと提供待ちを防げます。いずれの業態も、温度管理の精度がドリンクの品質を大きく左右するため、冷蔵機器への投資を優先すべき業態です。

カフェバー・スタンディングバー(小規模10坪以下)

10坪以下の小規模バーやスタンディングバーは、厨房スペースが2〜3坪と非常に限られています。1台で複数の役割を兼ねる機器を優先的に選ぶことが、省スペース厨房を成立させる最大のポイントです。

代表的なのがコールドテーブル(作業台兼冷蔵庫)やアンダーカウンター型の製氷機です。カフェバーの場合はエスプレッソマシンの設置場所確保も忘れずに計画しましょう。コンロはIH1口で十分なケースが多く、限られた厨房面積でもワンオペが成立するレイアウトを設計することが重要です。

バーの厨房機器選びで失敗しない5つの判断基準

必要な機器の種類がわかっても、「どのスペックが必要か」「新品と中古どちらが良いか」など、実際の選定では判断に迷うポイントが多くあります。ここでは、開業後に「機器選びを間違えた」と後悔しないための5つの判断基準を解説します。

フード提供の有無・規模から必要な調理機器を絞り込む

バーの厨房機器選びの第一歩は、フードメニューをどこまで提供するかを先に決めることです。ドリンクのみなのか、ナッツやチーズなど簡単なおつまみまでなのか、パスタや揚げ物など本格的な料理まで出すのか――この判断が加熱調理機器の必要台数とスペックを決定づけます。

フードの方針が固まらないまま「とりあえず」調理機器を入れると、オーバースペックで厨房スペースを圧迫したり、逆に不足して提供できないメニューが出たりします。メニュー構成を固めてから、必要な調理工程と機器を逆算していきましょう。

席数と1時間あたりのドリンク提供数から製氷機・冷蔵庫のスペックを決める

製氷機と冷蔵庫の容量は、大きすぎても小さすぎても経営上のリスクになります。製氷能力が大きすぎると初期費用と電気代がかさみ、小さすぎると夏場やピーク時に氷が足りなくなります。

席数別の製氷機スペック目安

  • 10席以下のショットバー:製氷機25〜35kg/日、アンダーカウンター型
  • 10〜20席の中規模バー:製氷機45〜65kg/日、アンダーカウンター型またはバーチカル型
  • 20席以上のダイニングバー:製氷機65kg/日以上、バーチカル型を検討

上記はあくまで目安のため、実際にはピーク時1時間あたりのドリンク提供数を想定し、その数字に対応できるスペックを選ぶようにしましょう。夏場の能力ダウンを見越して、目安より1ランク上の機種を選んでおくと安心です。

ガス種・電気容量・給排水を物件契約前に確認する

厨房機器はガス種(都市ガス・プロパン)、電源(単相100V・三相200V)、給排水の位置によって設置できる機種が大きく変わります。これらの要件を確認せずに機器を発注すると、設置できなかったり、追加のインフラ工事で想定外の費用が発生したりするトラブルが起こります。

バーでは製氷機とグラスウォッシャーが特に電気容量と給排水の配管に影響する機器です。物件のインフラが導入予定の機器に対応できるかを、物件契約前の段階で必ず確認しましょう。

搬入経路・設置スペースを採寸してから機器を決める

バーの物件はビルの地下や2階以上の空中階に位置するケースが多く、搬入経路の確認は他業態以上に重要です。厨房に置けるサイズでも、店舗の入口・階段・エレベーターを通らず搬入できないというトラブルは少なくありません。

特にタテ型冷蔵庫やグラスウォッシャーなどの大型機器は、搬入経路の幅と高さを事前に採寸しておく必要があります。設置後に機器の背面や側面に放熱スペースを確保できるかも、機器選びの段階で見落とさないようにしましょう。バーの厨房は通路幅90cm以上を確保するのが動線の目安です。

新品・中古・リースを機器の役割ごとに使い分ける

「新品と中古、どちらを選ぶべきか」は機器の役割によって判断が分かれます。

製氷機・冷蔵庫・グラスウォッシャーなど、ドリンク品質やオペレーション効率に直結する主力機器は、状態の良い高年式の中古品か保証付きの中古品、または新品を選ぶことをおすすめします。主力機器の不調はピーク時の提供遅れやリピーター離脱に直結するためです。

一方、シンク・作業台・食器棚・吊り棚など、性能差がドリンク品質に直結しにくい裏方機器は、中古品との価格差が非常に大きい領域です。同じ機能であれば中古品を選ぶことで、浮いた資金を主力機器やバックバーの内装、運転資金に回せます。

つまり、「お客様のドリンク体験に直結する機器」には予算を厚めに、「裏で機能する機器」は中古でコストを抑えるというメリハリのある考え方が、限られた開業資金を最大限に活かすコツです。

バーの開業費用と厨房機器にかける予算の目安

厨房機器の種類が決まったら、次に気になるのが開業全体でいくら必要なのかという資金計画です。ここでは、バーの開業費用の相場と、厨房機器にかける予算の目安を解説します。

バーの開業費用全体の相場と内訳

バーの開業にかかる総費用は、規模や立地、業態によって異なりますが、一般的に500万円〜1,500万円程度が相場とされています。

カウンター中心の小規模ショットバーであれば500万円前後で開業できるケースもありますが、20坪以上のダイニングバーでは内装・厨房機器だけで800万円を超えることも珍しくありません。居酒屋と比べるとフード調理の設備が少ない分、厨房機器費の総額は低くなる傾向がありますが、内装工事費(カウンター・照明・バックバー造作)の比重が大きくなるのがバー特有の資金構造です。

費用項目目安金額
物件取得費
(敷金・礼金・保証金・仲介手数料)
80万〜300万円
内装・外装工事費
(カウンター・照明・バックバー含む)
150万〜500万円
厨房機器・設備費80万〜300万円
什器・備品費
(グラス・カクテルツール・椅子・テーブル)
30万〜100万円
開業諸費用
(許認可・広告・メニュー制作)
20万〜50万円
運転資金
(3ヶ月分目安)
100万〜300万円

注意したいのが運転資金の確保です。バーは開業直後に客足が安定するまで時間がかかることも多く、家賃・人件費・仕入れ費・光熱費といった固定費を3ヶ月分以上カバーできる手元資金を用意しておくことが、早期閉店を避けるうえで重要です。居抜き物件の活用や中古厨房機器の導入によって初期費用を圧縮し、運転資金に回せる余力を作ることが開業成功の鍵となります。

厨房機器カテゴリ別の価格帯一覧

開業費用全体の中で、厨房機器・設備費が占める割合は約15〜25%が目安です。居酒屋と比べると加熱調理機器の点数が少ないぶん、厨房機器費の割合はやや低くなります。ただし、製氷機や冷蔵庫のグレードにこだわると費用が膨らむ点には注意が必要です。

機器カテゴリ新品価格帯の目安
冷蔵・冷凍機器一式
(業務用冷蔵庫・コールドテーブル・ワインセラー・瓶冷蔵ショーケース)
25万〜130万円
製氷機15万〜60万円
洗浄・衛生機器一式
(二槽シンク・手洗い設備・グラスウォッシャー)
15万〜70万円
加熱調理機器一式
(コンロ・電子レンジ・オーブン・フライヤー)
2万〜60万円
(業態により大きく変動)
作業台・収納・バックバー一式
(ステンレス作業台・食器棚・ボトル棚・吊り棚)
10万〜90万円

ドリンク主体のショットバーなら全カテゴリ合計で80万〜150万円程度に収まるケースもありますが、ダイニングバーで調理機器もフル装備すると200万〜300万円以上になることもあります。機器ごとに新品・中古を使い分けるメリハリが資金計画の鍵になります。

【席数別シミュレーション】10席のショットバー vs 25席のダイニングバー

実際にどのくらいの費用がかかるのか、ショットバー(10席・8坪)とダイニングバー(25席・18坪)の2パターンで厨房機器の構成と概算費用をシミュレーションします。

① 10席・8坪のショットバーの場合

コールドテーブル(冷蔵)、ガラスドア瓶冷蔵ショーケース、製氷機(25kg)、二槽シンク、手洗い設備、IHコンロ(1口)、作業台、食器棚、ボトル棚などを一式揃えた場合の目安は新品で約100万〜150万円です。中古品を活用すれば50万〜90万円程度に抑えられるケースもあります。

② 25席・18坪のダイニングバーの場合

タテ型冷蔵庫(ガラスドア)、コールドテーブル、製氷機(65kg)、グラスウォッシャー、ガスコンロ(3口)、卓上オーブン、卓上フライヤー、二槽シンク、手洗い設備、ワインセラー、作業台、食器棚、ボトル棚などを一式揃えた場合の目安は新品で約220万〜300万円です。中古品を活用すれば120万〜200万円程度まで圧縮できる可能性があります。

いずれの規模でも、中古品の活用で30万〜100万円以上のコスト削減が見込めます。次の章では、この厨房機器費用を具体的に抑える方法を解説します。

バーの厨房機器コストを抑える4つの方法

厨房機器は新品で一式揃えると大きな出費になります。しかし、工夫次第で数十万〜数百万円単位のコスト削減が可能です。代表的な4つの方法を紹介します。

中古厨房機器で初期費用を30〜70%削減する

中古厨房機器は、新品と比べて30〜70%程度のコストで同等の機器を手に入れられるのが最大の魅力です。品質の高い中古品を選べば、開業後も問題なく使い続けられるケースがほとんどです。

バーの厨房機器で中古が特に狙い目なのは、コールドテーブル・シンク・作業台・食器棚など、機能差がドリンク品質に直結しにくい機器です。これらを中古で揃えるだけで20万〜50万円以上のコスト削減も十分に可能です。

中古品の導入で浮いた資金は、製氷機や冷蔵庫など品質に直結する主力機器への投資や、バックバーの内装、開業後の運転資金に回すのが賢い使い方です。購入の際は、動作確認済み・保証付きの商品を取り扱う専門店を選ぶと安心です。製造から数年以内の高年式品も流通しており、新品とほぼ変わらないパフォーマンスを発揮します。

居抜き物件の厨房機器を活用する

居抜き物件とは、前のテナントの内装や厨房機器がそのまま残っている物件のことです。前テナントがバーやスナックだった物件であれば、冷蔵庫やシンク、カウンターなどがそのまま使えるケースもあり、内装工事費・厨房機器費を大幅に削減できます。

一方で、前テナントがレストランや物販店など業態が異なる場合、残置機器がバーには不要なものばかりで活用できないケースもあります。業態の親和性を必ず確認し、導入前に専門業者の動作確認と衛生チェックを行いましょう。修繕費が発生する場合はその費用も含めて費用対効果を判断することが大切です。

補助金・助成金を厨房機器の購入費に充てる

返済不要の補助金・助成金は、開業資金の負担を減らす有効な手段です。代表的なものとして小規模事業者持続化補助金があり、厨房機器の購入費が補助対象となるケースがあります。

補助額は上限50万円〜200万円程度(申請枠により異なる)です。ただし、補助金は原則「後払い」のため、先に自己資金や融資で費用を支払い、後から補助金が入金される流れになります。申請には事業計画書の作成が必要なため、開業の6ヶ月〜1年前から準備を始めることをおすすめします。公募時期や条件は変わるため、最新情報は中小企業庁や各自治体のウェブサイトで確認しましょう。

リース契約で初期費用を抑える

リース契約を利用すると、初期費用をほぼゼロに抑えながら厨房機器を導入できます。月々の支払いが発生しますが、開業直後のキャッシュフローを守りたい場合に有効な選択肢です。

一般的なリース期間は5〜7年で、月額はリース総額の約1〜2%が目安です。ただし、総支払額は購入より1.2〜1.5倍程度割高になるため、長期的なコストを考えると「主力機器はリース、裏方機器は中古で購入」のように組み合わせるのが賢明です。また、リース機器は原則として途中解約ができないため、契約前に使用期間と経営計画をしっかり検討しましょう。

バーの営業に必要な許可・届出と厨房設備の基準

厨房機器を揃えるだけでなく、保健所の営業許可をはじめとする各種許可・届出を取得しなければバーを営業することはできません。特にバーは深夜営業が前提となるケースが多く、居酒屋以上に届出の重要度が高い業態です。許可の基準は厨房設備の選定にも直結するため、物件契約や内装工事の前に必ず確認しておきましょう。

飲食店営業許可の施設基準と必要な厨房設備

バーの営業には「飲食店営業許可」の取得が必須です。許可を得るには、管轄の保健所が定める施設基準を満たす必要があります。

主な施設基準のポイント

  • 二槽シンク:水と熱湯の出る蛇口を備え、各槽が基準サイズ以上であること
  • 専用の手洗い設備:消毒装置付きの手洗いを調理場内に設置する
  • 調理場と客席の区切り:スイングドアや仕切りなどで明確に分ける(カウンターバーの場合は構造で代替可の場合あり)
  • 換気設備:調理に伴う蒸気・煙を排出できる設備を設ける
  • 温度計付きの冷蔵庫:庫内温度を確認できる機器を設置する
  • 扉付きの食器・食品収納:ほこりや害虫から食器・食品を守れる収納を用意する

これらの基準は地域の保健所によって細かい解釈が異なるため、図面の段階で保健所に確認してもらうのが確実です。居抜き物件で既存の厨房機器を活用する場合も、現在の基準を満たしているかを必ず再確認しましょう。

深夜酒類提供飲食店営業の届出と設備上の注意点

バーが深夜0時以降もアルコールを提供して営業する場合は、飲食店営業許可とは別に「深夜酒類提供飲食店営業」の届出が必要です。所轄の警察署(公安委員会)への届出制であり、届出を怠った場合は風営法違反となります。

多くのバーは深夜0時以降の営業を前提としているため、この届出はバー開業においてほぼ必須と考えてよいでしょう。

届出にあたっては、厨房設備そのものの要件はありませんが、客室の構造に関する基準が設けられています。客室の面積が9.5㎡以上であること、見通しを妨げる設備(1m以上の仕切りなど)を設けないこと、照度が20ルクス以上であることなどが主な要件です。

深夜営業を前提とするバーは、内装設計の段階でこれらの構造要件を織り込んでおかないと工事のやり直しが発生するおそれがあるため、早い段階で所轄の警察署に相談しておきましょう。

防火管理者の選任と消防設備の確認

収容人員が30人以上の店舗では、防火管理者の選任が義務づけられています。防火管理者は1〜2日間の講習を受けることで資格を取得できますので、開業前に済ませておきましょう。

バーの場合、ガスコンロやフライヤーなどの火気を使用する機器は居酒屋ほど多くないケースもありますが、消火器の設置や排気ダクトの防火対策など、消防署の指導に基づいた設備確認は必要です。内装工事の着工前に消防署への届出(防火対象物使用開始届)を行い、工事完了後の検査を受ける流れになります。

まとめ:バーの厨房機器は「ドリンク設備への集中投資」と「業態に合わせた取捨選択」がカギ

この記事では、バー開業に必要な厨房機器・設備の完全リストから、業態別の選び方、費用相場、初期費用を抑えるコツ、営業許可の基準までを解説しました。最後に要点を整理します。

この記事のまとめ

  • バーの厨房機器は「冷蔵冷凍・製氷機・洗浄衛生・加熱調理・作業台収納」の5カテゴリ。居酒屋と異なり、冷蔵機器と製氷機の優先度が最も高い
  • 業態タイプ(オーセンティック・ダイニング・ワイン/日本酒・小規模)によって優先すべき機器が異なる。自店のコンセプトとドリンク構成から機器の優先順位を決める
  • 機器選びはフード提供の方針→席数・ドリンク提供数→インフラ確認→搬入採寸→新品中古の使い分けの順で判断する
  • バーの開業費用は500万〜1,500万円が相場。厨房機器は全体の15〜25%を占め、ショットバーなら80万〜150万円程度で一式揃えられる
  • コスト削減には中古厨房機器・居抜き物件・補助金・リースの4つが有効。中古品は新品比30〜70%オフで即納も可能
  • 営業許可は飲食店営業許可が必須。深夜0時以降の酒類提供には深夜酒類提供飲食店営業の届出が別途必要で、バーではほぼ必須の手続き

開業資金を賢く使い、厨房機器のコストを抑えることで、開業後の経営に余裕が生まれます。中古厨房機器の導入を検討している方は、ぜひ当サイトの商品ラインナップもご覧ください。動作確認済み・保証付きの中古厨房機器を豊富に取り揃えています。